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マツパの1剤・2剤とは?薬剤の種類と放置時間の考え方

2026年8月11日 ・ 更新: 2026年8月22日

この記事の監修:宇佐美 拓也理学士 / 生化学・生物物理学

マツパの1剤は毛の中の結合を切る還元剤、2剤は新しい位置で結び直す酸化剤です。まつ毛に使えるのはまつ毛用として認められた化粧品に限られ、頭髪用の流用は認められていません。2024年にシステアミン塩酸塩が医薬品成分となり、まつ毛用に配合できなくなった点も押さえておきたいところです。放置時間は毛の状態と室温で変わります。

マツパのメニュー表に並ぶ「1剤」「2剤」という言葉。1液、2液と書くサロンもあり、正式名称のまつ毛パーマ液という表記を見かけることもあります。何をしている薬剤なのか説明を受けないまま施術が終わることも多いと思います。

マツパの原理は、毛の中でたんぱく質をつないでいる結合を、いったん切って別の位置で結び直すことです。1剤が切る役、2剤が留める役を担います。この2本立ての設計を知っておくと、放置時間の意味も、仕上がりが安定しない理由も見えてきます。

マツパとは?仕組み・種類・持ちの目安をまとめて解説

初めてのガイド

1剤と2剤がしていること

まつげを作っているのはたんぱく質で、その鎖どうしが横方向の結合で留められています。この留め具が、毛のまっすぐな形を保つ役割を担っています。

1剤は還元剤と呼ばれる薬剤です。この結合を切り離すと、毛は柔らかくなり、巻きつけたロッドの形に沿うようになります。

2剤は酸化剤です。ずれた位置で結合を結び直し、曲がった形のまま固定します。髪のパーマと同じ考え方で、使われるのは主に臭素酸ナトリウムか過酸化水素です。

臭素酸ナトリウム過酸化水素
酸化の進み方ゆるやか強く速い
置く時間10分前後5分程度
毛への影響急な負荷がかかりにくい乾燥や色抜けが起きうる

サロン向けの製品では、臭素酸ナトリウムが選ばれることが多くなります。時間はかかりますが、反応がゆるやかなぶん毛への負担を抑えやすいためです。時短をうたうセルフ用のキットで過酸化水素が使われている場合、置きすぎたときの影響も出やすくなります。

順番を入れ替えることも、片方だけで済ませることもできません。切る役と留める役がそろって、はじめてカールになります。

1剤に使われる成分の違い

還元剤にはいくつか種類があり、性格が違います。

1剤に使われる主な成分の比較。チオグリコール酸はしっかりかかるが負担が強めに出やすく、システアミンはおだやかで細い毛に向く

【チオグリコール酸系】古くから使われている代表的な還元剤です。しっかりかかる反面、においが出やすく、毛への負担も強めに出やすい傾向があります。かかりにくい太い毛には向きます。

まつ毛用の製品に入っているのは、チオグリコール酸そのものではなく、チオグリコール酸アンモニウムなどの塩の形です。成分表示を見ると「チオグリコール酸アンモニウム」のように書かれています。

【システアミン】体内にもある成分に近い還元剤です。作用がおだやかで負担も比較的軽く、細い毛や前回のダメージが残っている毛に向きます。そのかわり、しっかりかけたい場合には物足りないこともあります。

ここで注意が必要なのが、システアミンと「システアミン塩酸塩」は別の成分として扱われる点です。名前が似ているため混同されがちですが、規制上の扱いが違います。

【チオグリセリン】3つの中でもっともおだやかに働く還元剤です。においも出にくく、傷んだ毛に向きます。そのかわり分子が大きめで浸透しにくく、しっかりしたカールを求める場合には力不足になることがあります。

この3つを単独で使うとは限りません。作用の深さが違う成分を組み合わせ、それぞれを低めの濃度で使う設計の製品もあります。濃度を上げて無理に効かせるより、毛への負担を抑えられるためです。

どれが優れているという話ではありません。太くて硬い毛におだやかな薬剤を使えば上がりませんし、細い毛に強い薬剤を使えば切りすぎます。毛の状態に合わせて選ぶための選択肢、というのが正確な捉え方です。

まつ毛に使える薬剤には決まりがあります

成分の性格と同じくらい、施術を受ける側に関わってくるのが法的な扱いです。

まつ毛に使えるのは、まつ毛用として認められた化粧品に限られます。頭髪用のパーマ剤は医薬部外品として頭髪にのみ承認されたもので、まつ毛への使用は目的外使用にあたり認められていません。この点は古くから問題になっていて、1985年に当時の厚生省が、2004年に厚生労働省が、それぞれ使用しないよう周知する通知を出しています。

もう一つ、近年の動きとして押さえておきたいのがシステアミン塩酸塩の扱いです。2024年3月、この成分を有効成分とする医薬品が承認されたことで、システアミン塩酸塩は化粧品に配合できない医薬品成分にあたることになりました。例外として配合が認められたのは、頭髪のみに使う洗い流すヘアセット料だけです。その「頭髪」に手足の体毛、眉毛、まつ毛は含まれない、と整理されたため、まつ毛カール用の製品には配合できなくなりました。3月26日の事務連絡で示された取り扱いは、同年7月12日の化粧品基準の改正で正式なものになっています。

紛らわしいのですが、規制の対象になったのは「システアミン塩酸塩」であって、「システアミン」ではありません。システアミンのほうは今回の規制の対象外で、引き続きまつ毛用の製品に使えます。名前が 3 文字違うだけで扱いが変わるので、成分表示を見るときは末尾まで確認してください。

施術者向けの補足 商材を選ぶ際は、まつ毛用の化粧品として届け出られているかを確認してください。規制の内容は今後も見直される可能性があるため、業界団体やメーカーからの案内を定期的に確認することをおすすめします。この記事の記載は執筆時点の情報にもとづくものです。

セルフでマツパをする場合も同じです。手に入りやすいからといって頭髪用の薬剤を使うのは、目的外使用にあたるうえに危険です。目に入れば角膜を傷める可能性があり、まぶたの皮膚障害につながることもあります。

薬剤が目に入った場合は、こすらずすぐに大量の水で洗い流し、眼科を受診してください。まぶたの赤み、腫れ、強いかゆみが出た場合も、自己判断で様子を見ずに眼科・皮膚科に相談してください。

放置時間はなぜ一定にならないのか

マツパの1剤の時間、2剤の時間を調べる人は多いのですが、一律の正解はありません

放置時間が一定にならない理由。毛の太さ、前回からの間隔、薬剤の強さ、室温と湿度が結合の切れる速さを変える

結合が切れる速さは、次の条件で変わります。

  • 毛が太くて硬いほど、時間がかかる
  • 前回から日が浅い、すでに傷んでいる毛は、早く進む
  • 薬剤の成分と濃度で、進み方が変わる
  • 室温が高いほど反応が早く進む

商品の説明書やメニューにある目安の時間は、標準的な条件を想定したものです。実際の施術では、その数字を出発点にして、途中で毛の状態を見ながら止めるのが本来のやり方になります。

時間だけを守った結果、切りすぎればチリチリになり、足りなければ上がりません。同じサロンで同じメニューを受けても仕上がりが違うことがあるのは、この調整の部分が効いているためです。

2剤についても同じです。毛先まで薬剤が行き渡っているか、十分な時間を置けているかで、固定の具合が変わります。短すぎれば結合が結び直されきらず、カールが落ちやすくなります。

チリチリになった場合の対処は下記の記事で扱っています。

マツパのチリチリ・ボサボサが起こる原因と直し方

トラブル対処

ケラチントリートメントとラッシュバーム

メニューでよく見かける名前です。これらは1剤や2剤の代わりになる薬剤ではありません。

ケラチントリートメントは、毛の表面を整える補助的な処理です。マツパの工程に組み込まれることもあれば、単体のメニューとして提供されることもあります。手ざわりやツヤの改善が主な役割です。

ラッシュバームとは、まつげ用の保湿剤にあたるものです。日常のケアとして使われます。

どちらも、切れてしまった結合そのものを元に戻すわけではありません。表面を整えることと、内部の構造を復元することは別の話です。ダメージが出た毛については、生え変わりを待つことになります。

期待できる範囲を理解したうえで使うぶんには、手ざわりの改善という意味があります。

なお、サロン向けの1剤には、加水分解ケラチンやアミノ酸などの補修成分が最初から一緒に配合されている製品もあります。結合を切っている最中に流出しがちな成分をその場で補う設計です。市販のキットでは、この部分が省かれていることが少なくありません。

マツエクとは何が違うのか

同じまつげの施術でも、原理も原材料もまったく違います。

マツパマツエク
使うもの還元剤と酸化剤接着剤(グルー)
主な成分チオグリコール酸、システアミンなどシアノアクリレート
仕組み自分の毛の結合を組み直す人工毛を自分の毛に接着する
変わるもの毛の向きと角度長さと毛量

マツエク剤という言い方をされることもありますが、マツエクで使うのは接着剤で、毛の内部には手を加えません。マツパは自分の毛の構造そのものを変える施術です。この違いから、傷みの出方も施術後の注意点も変わってきます。

施術後にいつから濡らせるかも、理由が違います。

マツパは何時間濡らさない?当日のお風呂と洗顔の目安

初めてのガイド

施術者向けの補足 薬剤の選定は、毛の太さと履歴の2軸で考えると整理しやすくなります。同じ設定で問題が出なかった毛と出た毛の差は、多くの場合この2つに現れます。放置時間は目安から入り、途中確認で止める運用にすると、季節による室温差の影響も吸収できます。2剤は時間が短くなりがちなので、カールの持ちが安定しないときは還元側だけでなくこちらも見直す価値があります。

まとめ。数字より、毛に合わせて調整できるか

マツパの1剤は結合を切る還元剤、2剤は結び直す酸化剤でした。1剤の成分によってかかり方と負担が変わり、放置時間は毛の状態と環境で変わります。

メニュー表の数字を追うより、自分の毛に合わせて調整してもらえるかどうかを見てください。そこが仕上がりと傷みの分かれ目になります。

この記事を監修した人

宇佐美 拓也理学士 / 生化学・生物物理学

大学にて生化学を専攻。在籍時の研究では毛髪や皮膚の主成分である「たんぱく質」や「遺伝子」を分子レベルで専門的に扱う。現在はその深い専門知識を活かし、美容・毛髪科学のライター・監修者として活動。