マツパのチリチリ・ボサボサが起こる原因と直し方
2026年7月27日 ・ 更新: 2026年7月27日

マツパのチリチリ、いわゆるビビリ毛は、1剤で毛の結合を切りすぎたときに起こります。切れた結合は元に戻らないため、傷んだ部分は生え変わりを待つことになります。一方、向きが乱れただけのボサボサや、上がらない、上がりすぎといった症状は原因が別で、対処できる場合があります。
かけたばかりなのに毛先がチリチリしている。全体がボサボサ、バサバサして、向きがバラバラになる。あるいは、思ったほど上がらなかった。マツパの仕上がりに納得できないとき、症状によって原因はまったく違います。
先に押さえておきたいのは、チリチリだけは元に戻らないということ。マツパはカールを形づけているのではなく、毛の内部の結合を薬剤で切って、別の位置で結び直しています。切りすぎた結合は復元できません。一方で、向きが散っているだけなら整えられますし、上がらなかった場合は調整の余地があります。
マツパで毛の中に起きていること
まつげの内部では、たんぱく質の鎖どうしが横方向の結合でつながっています。この結合が、毛のまっすぐな形を保っています。
1剤(還元剤)は、この結合の一部を切り離します。切れると毛は柔らかくなり、巻きつけたロッドの形に沿うようになります。そこへ2剤(酸化剤)を乗せると、ずれた位置で結合が結び直され、曲がった形のまま固定されます。これがカールの正体です。
つまりマツパは、毛を曲げているのではなく、毛の中身を一度ほどいて組み直しています。仕上がりを左右するのは、どれだけ切るか、どのタイミングで結び直すかの制御です。
チリチリ、ビビリ毛は「切りすぎ」で起きる
1剤の作用が強すぎたり、置く時間が長すぎたりすると、結合が必要以上に切れます。これが過還元と呼ばれる状態です。
切れすぎると何が起きるか。2剤を乗せても、結び直す相手が足りません。結合がまばらな状態では毛が形を保てず、乾いたときに不規則に縮れます。これがチリチリ、ビビリ毛です。
ここは誠実にお伝えします。切れた結合を元に戻す方法はありません。トリートメントで手当てできるのは毛の表面までで、内部の結合数は回復しません。傷んだ毛が抜けて新しい毛に生え変わるのを待つことになります。まつげの毛周期を考えると、1か月から3か月ほどが目安です。
過還元は薬剤の強さだけで決まるわけではありません。もともと毛が細い人、頻繁にかけている人、前回のダメージが残っている人は、同じ薬剤でも切れすぎやすくなります。マツパのスパンを詰めるほどリスクが上がるのは、この積み重ねがあるためです。
症状別に見る、直せるもの待つもの
チリチリ以外の症状は、原因も対処も違います。
| 症状 | 主な原因 | 対応 |
|---|---|---|
| チリチリ、ビビリ毛 | 過還元 | 生え変わりを待つ |
| ボサボサ、バサバサ、向きがバラバラ | 毛の流れの乱れ、ロッドへの巻き方 | ブラシで整う場合がある |
| 全然上がってない、上がらない | 還元不足、毛が太い、密着不足 | サロンに相談 |
| 上がりすぎ、まぶたに当たる | ロッドやカールの選択 | 次回に調整、緩めるかけ直し |
| 左右差 | 毛量差、巻き方の差 | サロンに相談 |
| 毛先が折れる | 毛先へのテンション、薬剤の偏り | 生え変わりを待つ |
| 3週間ごろのばらつき | 毛周期による生え変わり | 自然な変化 |
ボサボサになるだけであれば、乾いた状態でスクリューブラシを根元から通すと流れが整うことがあります。ぐちゃぐちゃになると感じていても、毛の内部が傷んでいなければ整う余地は残っています。濡れているときは毛が柔らかくなっているので、力をかけないでください。
3週間ほどたってからのばらつきは、失敗ではありません。まつげは一本ずつ生え変わる時期が違うため、新しく生えた毛はカールがかかっていない状態で混ざります。
雑だった、下手だったと感じたとき
仕上がりを見て「下手な人に当たったのでは」「雑にやられたのでは」と思うことがあります。技術で差が出る部分は確かにあります。ロッドの選択、巻きつけの均一さ、放置時間をどこで止めるかの判断は、経験がそのまま結果に出ます。
ただしマツパは、同じ施術者が同じ薬剤を使っても、毛の状態が違えば結果が変わります。前回から日が浅い、もともと毛が細い、前のダメージが残っている。こうした条件があると、標準的な設定でも切れすぎることがあります。技術だけの問題として片づけると、サロンを変えても同じことが起きます。
判断材料になるのは症状の型です。左右差や巻きムラは施術側の要素が大きく、チリチリは薬剤の設定と毛の状態の組み合わせで起こります。
サロン選びで見るとよいのは、施術前にまつげを見て、前回からの間隔や毛の状態を確認してくれるかどうか。毎回同じ設定で流さず、その日の毛に合わせて薬剤や時間を変えているかどうかで、結果の安定は変わります。
ダメージレスと書かれていれば安全なのか
ダメージレスをうたう薬剤やメニューがあります。従来より穏やかな設計になっているものは実際にありますが、結合を切って結び直すという原理そのものは変わりません。
切る量が少なければ傷みは抑えられます。同時に、カールのかかり方も穏やかになります。強く上げたい希望と、傷みを抑えたい希望は、ある範囲でぶつかります。どちらを優先するかは、毛の状態と好みで決める話です。
ダメージがゼロになるわけではない、と理解しておくと、施術間隔の判断を誤りにくくなります。
全然上がらない、上がりづらいのはなぜか
チリチリとは逆方向の失敗もあります。
毛が太くて硬い人は、同じ薬剤でも結合が切れにくく、カールがつきにくい傾向があります。「マツパができない人」と言われることがありますが、正確には同じ設定では反応しにくい毛質があるということです。薬剤の選択や時間の調整で結果が変わる余地はあります。
ロッドへの密着も条件です。まつげがロッドに沿っていない部分があると、そこだけ薬剤が届かず、カールがつきません。根元付近が浮いていれば、立ち上がりが弱くなります。
もう一つ見落とされやすいのが、施術前の油分です。まつげにマスカラの残りや皮脂が残っていると、薬剤が浸透しにくくなります。
毛先が折れる、根元から折れる
きれいなカーブではなく、ある一点で角のように折れてしまうことがあります。多くはテンションかけすぎのサインです。
引っ張った状態のままロッドに固定すると、その一点に力が集中し、折れ線が残ります。毛先だけ薬剤が濃く当たった場合も、その部分だけ結合が切れすぎて折れやすくなります。
根元の折れは、ロッドの位置と立ち上げ角度によるものです。根元が急角度で押し上げられると、まっすぐ伸びずに直角に近い形で固まります。
いずれも、いったん折れた部分は形を戻せません。ここもチリチリと同じく、生え変わりを待つ範囲になります。
やり直しを頼む前に知っておくこと
多くのまつ毛サロンが1週間以内をやり直しの目安にしています。ただしマツパの場合、時期の条件を満たしていても、かけ直してよいかは毛の状態しだいです。
すでに傷んでいる毛にもう一度薬剤を乗せれば、切れる結合はさらに減ります。上がらなかったからといって、その日のうちに他店でかけ直すのは避けてください。
まず施術したサロンに連絡し、状態を見てもらうところから始めます。伝えるとよいのは、施術の日付、どの部分がどう気になるか、施術後にどう変化したか。写真があれば状態が伝わりやすくなります。
2週間を過ぎると毛周期による入れ替わりが混ざるため、施術によるものかどうかの切り分けが難しくなります。気づいた時点で早めに連絡するほど、対応の選択肢は残ります。
薬剤が目に入った、施術後にまぶたが腫れた、強いかゆみが続くといった場合は、仕上がりの問題ではありません。こすらずに眼科・皮膚科を受診してください。パーマ剤によるアレルギーの可能性もあります。
薬剤に対するアレルギーについては、下記の記事で解説しています。

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トラブル対処
似合わない、まぶたに当たると感じるとき
仕上がり自体は整っているのに、鏡を見て違和感が残ることがあります。この場合は施術ではなく、カールの強さやロッドの選択が目の形に合っていません。
奥二重や一重でまぶたが被さり気味の人は、強く上げるほどよいわけではありません。上げすぎると毛先がまぶたの裏に当たり、当たる感覚が残ったり、鏡をまっすぐ見たときにカールが隠れたりします。緩めのカールで角度を浅くしたほうが、目が開いて見えることもあります。
マツパが似合わない人がいるわけではなく、合わない設定があるだけです。次回のカウンセリングで、前回どこが気になったかを具体的に伝えると調整できます。
セルフマツパで失敗が起きやすい理由
自分で薬剤を扱う場合、条件は大きく変わります。
いちばん大きいのは、放置時間の判断ができないことです。1剤をどれだけ置くかは毛質と薬剤の強さで変わり、途中で毛の状態を確認しながら決めます。目を閉じた状態でこれを判断するのは困難で、規定時間どおりに置いた結果として切りすぎるケースが起こります。
ロッドへの均一な巻きつけも、鏡越しの片目作業では安定しません。テンションが左右で変われば、そのまま左右差になります。
さらに、市販のキットでは薬剤の強さが選べません。毛が細い人にも太い人にも同じものが渡されるため、細い人ほど過還元に近づきます。
練習モデルとして施術を受ける場合も、条件は通常と違います。経験を積む途中の施術者が担当することを前提に、仕上がりへの対応をどこまでしてもらえるかを事前に確認しておくと、認識のずれを避けられます。
施術者向けの補足 チリチリの相談を受けたときは、還元の程度と毛の履歴を切り分けると原因が絞れます。同じ設定で問題が出なかった毛と出た毛の違いは、多くの場合、前回からの間隔と毛の太さにあります。理論としては、切断した結合をどれだけ結び直せるかが仕上がりを決めるため、還元の強さと時間だけでなく、2剤の作用時間も見直す価値があります。
次に同じことを繰り返さないために
同じ結果を避けるために渡せる情報があります。
- 前回いつマツパをかけたか
- 前回の仕上がりで気になった点を、部位と状態で伝える
- まつげ美容液やマスカラなど、日常で使っているものを伝える
- カールの強さを前回と同じにするか、変えたいかをはっきりさせる
施術間隔は特に重要です。前回から日が浅いほど、切れる結合の余力は減っています。上がりが悪いからと間隔を詰めると、かえって傷みが積み重なります。
まとめ
マツパの失敗は、ひとくくりにできません。チリチリは毛の中で結合が切れすぎた結果で、待つ以外の方法がありません。ボサボサは整う場合があり、上がらなかったのなら設定を変える余地があります。
鏡の前で気になったとき、まずどの症状なのかを見分けてください。そのうえで、直せるものとそうでないものを分けて相談してください。
この記事を監修した人
宇佐美 拓也(理学士 / 生化学・生物物理学)
大学にて生化学を専攻。在籍時の研究では毛髪や皮膚の主成分である「たんぱく質」や「遺伝子」を分子レベルで専門的に扱う。現在はその深い専門知識を活かし、美容・毛髪科学のライター・監修者として活動。

